【レポート】AWS Summit Tokyo 2019:金融機関におけるビッグデータ・AI活用:AWS活用トレンドと三菱UFJ銀行の取り組み #AWSSummit
当エントリでは2019年06月12日に行われた『金融機関におけるビッグデータ・AI活用:AWS活用トレンドと三菱UFJ銀行の取り組み』に関する内容をレポートしたいと思います。
セッション概要
当セッションの登壇者及び概要は以下の通りです。
セッション概要: 経営環境が大きく変わりつつある中、金融業界では、コスト最適化や業務効率向上、コンプライアンス遵守、およびお客さま向けサービスにおけるイノベーション推進のためのデータ利活用高度化ニーズが高まっています。本セッションでは、冒頭にAWSより金融業界のトレンドとデータ利活用ソリューションを、続けて三菱UFJ銀行よりビッグデータおよび機械学習を中心とするAIの取り組みをご紹介します。
セッションレポート
以下、セッションレポートです。
金融機関におけるAWS活用
AWSJ松久正幸様より
- 金融機関でのAWS活用は加速度的に増加
- スタートアップからエンタープライズへ
- 記入のあらゆるセグメントへ
- ノンコアからミッションクリティカルへ
- 登壇金融機関の変遷
- 2017:8社→2018:13社→2019:25社
金融機関で注目されるAWSサービス
- Amazon Connect
- 琉球銀行様の事例
- 琉球銀行がAWSを採用。「調べれば調べるほど、AWSのほうがよっぽど信頼性が高いとわかった」[PR] - Publickey
- Open API
- カブドットコム証券様の事例
- kabu.com API基盤刷新にAWSを採用|プレスリリース|企業・IR情報|株のことならネット証券会社【カブドットコム】
- Amazon API Gateway などのマネージドサービスを利用しセキュアでスケーラブルなオンライン証券システムを低コストで実現
- AWS PrivateLink
- Bloomberg様の事例
- Bloomberg B-Pipe
- 300以上の取引所と5,000のPrice Providerからの市場データおよび、すべての資産クラスに渡る3500万の商品情報を統合し、AWS上で可動する統合史上フィード(B-PIPE)を提供
- データレイク
- データ活用・情報系システムの革新
- リレーショナルデータと非リレーショナルデータ(飛行増加データ、順構造化データ)
- CIFやトランザクションのみならず、市況、ソーシャルなどのビッグデータを横断的に活用
- BIツールによる可視化、定形レポートのみならず、機械学習による分析
- 低コストストレージで長期保管
- AWSのデータレイク、分析、機械学習系のサービス
- 機械学習
- Amazon SageMaker
- AWS Deep Learning AMIs
- Amazon Rekognition
- Amazon Lex
- AWS DeepLens
- Amazon Comprehend
- Amazon Translate
- Amazon Transcribe
- オンプレミスデータ移行
- AWS Direct Connect
- AWS Snowball
- AWS Snowmobile
- AWS Database Migration Service
- AWS Storage Gateway
- 分析
- Amazon Athena
- Amazon EMR
- Amazon Redshift
- Amazon Elasticsearch service
- Amazon Kinesis
- Amazon QuickSight
- リアルタイムのデータ取り込み
- AWS IoT Core
- Amazon Kinesis Data Firehose
- Amazon Kinesis Data Streams
- Amazon Kinesis Video Streams
金融機関におけるビッグデータ・AI活用:AWS活用トレンドと三菱UFJ銀行の取り組み
三菱UFJ銀行秋山様より
三菱UFJ銀行のクラウド活用
- 会社紹介
- MUFGグループの組織紹介
- 11の構造改革の柱
- 変革・再創造実現のための具体的な戦略として、「11の構造改革の柱」を建て推進
- その中で、デジタライゼーションはすべての戦略を貫く柱との位置付け
- クラウド活用
- デジタライゼーションを支えるソリューションのひとつとしてクラウドを活用
- 2009 技術調査
- 2015 クラウドWG組成、机上コスト検証、CA契約を締結、PoC実施
- 2016 共通基盤構築、EA契約を締結、本格利用開始
- 2017 マネージドサービス利用、エンタープライズサポート
- 2019 大阪ローカルリージョン利用開始、さらなる利用拡大へ
- デジタライゼーションへの期待
- 収益拡大
- コスト削減
- データ分析やAIなどのデジタル技術活用が不可欠に
- データ活用をオンプレミスで対応する場合
- データ活用には構造・非構造のデータが大量に必要
- オンプレミスでの対応には限界が
- 大容量への対応
- 拡張性・柔軟性
- 新技術の取り組み
ビッグデータ・AIの取り組み
- データプラットフォーム
- 設計思想
- 安価に
- 安全に
- 自由に
- システム構成
- データプラットフォーム
- データ収集(EC2)
- データレイク(S3)
- データ加工(EC2)
- DWH(Redshift)
- データマネジメント(EC2、RDS)
- 目的別マート
- データ加工(EC2)
- マート(RDS)
- その他
- BIツール(EC2)
- 業務システム(EC2)
- オンプレサーバ
- 工夫と課題
- セキュリティ強化
- メタデータ管理
- ユーザビリティ
- データガバナンスの取り組み
- アクセス管理
- データ管理
- リネージ管理
- メタデータ管理
- データ辞書管理
- サイロ化防止
- 今後に向けて
- データラインナップ拡充
- 汎用BIツールや汎用ETLツールを導入しより使いやすく
- データガバナンス(サイロ化防止)
- 活用領域を拡充
- AI共通基盤
- 設計の工夫
- Point1
- セキュリティ要件と可用性要件の観点から、学習分析用と推論環境を分離
- Point2
- プロキシサーバを構築し推論を実行させ、推論の後処理を行う
- SageMakerを利用して感じたメリット(・デメリット)
- 機能追加が早い
- 機能改善要望を伝え、スケジュールに間に合うように実装頂いた
- Tensorflowのバージョンアップの手間を省略
- 一方、バージョンアップによりファンクションが変更されると再学習の際、推論制度に影響が出てしまう等の可能性があるため、モデルアップデータごとにテストする方針に
- モデル検証速度の向上
- 簡単に多重度を上げられる為、モデル検証速度を上げられる
- 今後に向けて
- 学習用データ作成の効率化
- AWS SageMaker Ground Truthの利用を検討するなど効率化
- AI技術領域を拡大
- 実装レベルにある技術領域を中心として活用から、検討活用範囲を拡大
- さらなるAWSの活用に向けて
- 早期リリースを徹底
- AWS Dojo活用
- Professional Service利用
- 各国法規制対応
- 国内外の法規制調査
- セキュリティ
- 継続的なセキュリティ強化
- 人材育成
- クラウドネイティブ対応、データ分析、AI活用
まとめ
メガバンクでもクラウド基盤の活用がどんどん進んでいることが実感できるセッションでした。アーキテクチャ観点での話が多かったのですが、データ分析や機械学習を介してどのような課題を解決しようとしているのか、業界ならではの悩み等にも興味が湧きました。ユーザの生の声はやはり面白いですね。引き続き、現場からのレポートを続けたいと思います。